絨毯一筋30年以上の経験で、ペルシャ高級グレードから、リーズナブルな価格帯まで幅広くセレクト
ペルシャ絨毯専門の品揃えです。
各価格帯に応じて高級グレードから一般グレードまで私どもの共通した理念は、どのグレードに於いてもできるだけ「柄の良いもの・品の良いもの・センスの良いもの」をご覧いただけるよう努力しています。
高級グレードは価格なりに「良い柄・センスの良いもの」はありますが「ハデハデで品の悪いもの」もあり、一方一般グレードでもそこそこ品の良い、センスの良いものもあるので特に店内在庫については一般的に「柄の良い」と言われるようなものをセレクトして置いてあります。
これだけは知っておこう!
-
ペルシャ絨毯のミニ知識
ペルシャ絨毯のごく基本的なこと。例えば(1)定義(2)各産地の説明(3)注意点など、当店の長い販売経験から「建前」ではない現実的コメントを添えました。ただこれはあくまでも私個人の私見です。
-
ペルシャ絨毯とは? 定義
イランで「手織り」で作られた物は、何でもれっきとしたペルシャ絨毯です。
こういう大雑把な定義ですからペルシャ絨毯と言えば一般には柄の繊細なデザインの高価なシルクの絨毯をイメージしますが、現実は典型的な「ピンからキリ」商品でペルシャ全体から見ればこういうシルクの絨毯はごく一部の物で、アラブの王族向けか日本でしか売られていません。
何百年も前から絨毯が重要なインテリアとして根付いている欧米では靴で踏む生活ですので、ウールの絨毯がほぼ100%占めています。織りや色柄の点で「ペルシャと呼ぶのも恥ずかしい」ようなランクから「美術工芸品」にふさわしいものまで奥が深いです。
原産国の「イラン」というだけでどんなものでも「天下のペルシャ」として、ある程度以上の値がつきますので粗悪で下品なそれでいて価格が高いというようなものをくれぐれもご注意ください。「ペルシャ絨毯選び」には少なくとも「品の良さ」が大事なファクターだと思います。 -
各産地の説明
日本における「焼き物」と同じでイラン全土ではマイナーな産地からメジャーな産地まで少なくとも1000カ所以上あると言われています。歴史の長い産業ですのでそれぞれが独特なデザインや制作方法など「個性」を持っています。ほとんどがウールの産地でシルクの産地では「クム」がほとんどで、近年「カシャンシルク」が主に高級グレードとして作られています。
日本には従来から「五大産地(イスファハン・クム・ナイン・タブリーズ・カシャーン)」と呼ばれる物が主に輸入されています。
このうち現在では昔「ペルシャ絨毯の王様」と呼ばれる高級なウール系の産地として人気があった「イスファハン」が今は殆ど日本に入ってきていないので「四大産地」とした方が現実的かもしれません。一般的には殆ど量的にもこの四大産地の物が主で、どこへ行ってもこれらの産地の物ばかり。これも売り手(輸入者)の都合で「最大公約数的で無難」な物と言うことかもしれません。ペルシャ絨毯は産地それぞれの個性が多岐にわたってこういう大産地以外にもいろいろ味わいのある楽しい物がたくさんありますので、私共はできるだけ幅広くご覧いただけるように努めています。 -
クム産 “要注意!リスキーな産地です。”
何百年もの伝統のある産地から見れば「新興産地」にすぎないのですが、日本では根強い「シルク信仰」があって、高級なペルシャ絨毯と言えば「シルク100%のクム産」が最高峰と一般に言われていますが、世界的に見れば日本は特別な市場です。
それでも日本でも現状は大半はウールの物です。これはコスト的な理由や欧米流の生活スタイルへの変化など従来から美術工芸的な捉え方のシルクから、意識向上による実用的なインテリアとして認識が深まってウール系の絨毯が伸びています。 -
なぜシルクの絨毯は高い?
理由は「素材が高級なシルクだから」ではなく、シルクの糸はもともとウールに比べて非常に細いので粗悪品でも高級品でもウールの手間に比べると同じ面積を織るのに何倍もの手間がかかるからです。全体のコストから見て、材料がウールだろうとシルクだろうと材料代はあまり関係なく「手間代」が大きな要因です。
-
何がシルクの絨毯はリスキーなのか?
「絹100%のペルシャ絨毯」といえば一般的には“憧れの的”ですが、「値段の安さ」や「柄の細かさ」だけでお買い求めになりますと後々困ることがあります。
一般的には絹のペルシャ絨毯の産地は「クム」ということになっていますが、実は大きく3種類に分けられます。問題は業者によってはペルシャのシルク絨毯は「クム産」で通していることです。-
1)リアルクム(またはオリジナルクム)
これは本当のクム産です。本来のクム産としての品質が保たれています。現在作られているものは、特長として(1)風合いが柔らかい。(2)手触りがヌメッとしている。(3)光沢。(4)デザイン性(安っぽい原色系の色は使わない)。(5)水濡れしてもすぐには「色の泣き」が無い。(6)クリーニング時の事故がない。総じて「いかにも良い絨毯」と思えるデザインや風合い・光沢などが特長です。
-
2)ザンジャン
クムの近くの「ザンジャン」という産地で作られている。品質の幅は広く上級のザンジャンはリアルクムと言われても判らない位のものがある。価格は「リアル」よりかなり安い。上級のものは品質的にもデザイン的にも良いものがあり、「クム」にこだわらなければ、これはこれで良いかもしれません。「ザンジャン」で一般的に言えるのは「リアル」のような風合い(しなやかさ)には劣る。下のグレード程「マラゲ」に近くなってくる。
-
3)マラゲ
これも産地の名前。20年以上前には「ペルシャシルク」の超出物といううたい文句で相当売れたが何かとクレームが多く、現状では少なくなってきている。
一番の問題は、水に濡れたられ大変。ヒドイものは、あっという間に柄が判らなくなる程色泣きが出る。これは一言で言えば「手抜きの染色」。染色工程が簡素で色留め工程なども省かれている。風合いがバリバリに固く(コシが強い)また原色で品の悪い安っぽい色を使用。手触りも良くない。
シルクの目玉品」とか「超出物」と言われたらマラゲの恐れあり。柄はリアルでも細かさ自体は大差がないので、マラゲの柄の細かいものは要注意です。柄が細かいかどうかは本来デザイン上の問題なので「柄が細かいイコール品質が良い」とは言えないのです。
マラゲは総じて一般的な平凡なデザインが多く、使用している色は原色系。リアルクム等の良い絨毯ほど上品で深みのある中間色を使っています。
私見ですが、シルクのペルシャ絨毯をお買いになるとき、できれば「リアル」をお勧めしますが、価格的に予算があればサイズを一つ落として、あくまでも「リアル」にするか、サイズを落とせない場合は「ザンジャン」の上級グレードで「リアル」にできるだけ近い物を狙うかが良いと思います。「ザンジャン」ならば少なくとも「色泣き」のリスクは少ないかと思います。注)この色泣きのトラブルは「クリーニング&補修」の項に実際起こったトラブルの事例が載っています。
私共、今までの数々の「マラゲ」のトラブルを見聞きしてきましたので、どうかマラゲに引っかからないようにといつも願っています。マラゲもシルクの糸で織られている以上、織りはそこそこ細かいので手間がかかっているので高価です。他には何も良いところがないのです。粗悪品のわりに高価な代償を払う。これが私の一番気になるところです。「見かけ倒し」と言う言葉がぴったりの表現です。
マラゲを買うくらいならペルシャウールの良い物が買えますのでその方が絶対お得です。
ウールの産地でももちろん「産地偽装」的なものがありますが、シルクの粗悪品よりずっとましだと思います。というのはウールの場合はかなり程度の低い物でも「色泣き」もマラゲみたいにひどくはないですし、実用的にも意外とちゃんとしているので比較的安心です。
この「リアル」、「ザンジャン」、「マラゲ」は特に認定証もなく業界的にもきちんと統一したものは何もありません。そしてそれぞれの産地の品質的な境界はハッキリしていません。とてもある意味、曖昧な面もありますが現実的には私共としては長年携わってきた売り手の「鑑識眼」と「良心」に基づいて扱わせていただいております。当店ではシルクの絨毯をご検討の方にはできるだけこれらの産地の代表的な物の現物をお見せして比較説明させていただいております。
-
-
他のご注意点“工房のサインは当てにならない”
今ではペルシャシルクにはどんな低グレードでもペルシャ文字で「工房のサイン」が入っていますが、昔は有名工房や上級グレードのみしか入っていませんでした。この「工房サイン」を入れると「工房品だから良い物」という売り方をされる場合もあって、お客様もブランド志向が強い日本では喜ばれるので特に日本向けには今ではほとんど工房のサインを入れているようです。この「サイン」に惑わされないように見る目を養っていただきたいものです。
この点ウールの物は従来通り上級グレードには工房のサインが入っているものが多いし、また工房サインなしでも「実力主義」で立派な物も多いです。ただウールでも産地によっては「サインの乱発」をしているところもあります。 -
ナイン産 “ウールでは一番ポピュラー・合わせやすい”
伝統のあるメジャーな産地。日本ではファンが多い。
-
デザイン
多くは典型的なペルシャ柄。中心にメダリオン、フィールド部にアラベスク文様。色使いもシンプルな構成。ボーダー部やコーナー部はどれでもベージュ系。メインのフィールド部のみ色を変えている。色のバリエーションはライトブルー、ダークブルー、グリーン、赤、ベージュ等。また円形の物や長尺サイズも多く作られている。
-
お部屋に合わせやすい
多色使いではなくある意味“モノトーン”系ともいえるのでモダン家具にも合わせやすい。またボーダー部等どの色もベージュを基本に使っているので和風にも良く合いますし、ベージュが「つなぎ」の役目をしているのでコーディネートしやすい。
-
その他
このナインは日本では普通に使われていますが、世界的に見ればウール系の高級産地に属します。ウール系のペルシャ絨毯は価格的にナインよりはるかに安い物を作っている多くの産地がありますが、多くはいわゆる「部族物」と呼ばれるザックリとした大柄な幾何学模様で赤系をメインに使っているため日本人の一般的な感性にはあまり合わないようで量的にはあまり使われていない。
ナインの普通の織りの物は9L(ノーラ)、上級の物は6L(シシラ)と呼ばれています。9Lグレードはお求めやすいのでよく出ています。 -
ご注意1.
ナイン以外で品質の劣る産地の物が「ナイン柄」で作られています。その産地は例えば「タバス産」さらに下のランクで「カシュマル産」などです。問題は業者によっては「ナイン産」として“特価販売”として売られていることです。
しかしこれらの絨毯でも、れっきとしたペルシャ絨毯で価格も安く、ウールですのでシルクのマラゲ産のように高値で致命的な欠陥をもつ絨毯と違って実用上は問題がないので、要は売り手が正直に産地を示して売ればよいことです。 -
ご注意2.
ナインの上級グレードは6L(シシラ)には殆ど工房のサインが入っています。この6Lにも品質に大きな幅があります。問題は普通のグレード(9L)に有名工房、特に多いのは「ハビビアン工房」のサインを入れた物があることです。要はサインに惑わされず品質をよく見比べることです。
私共では、6L、9Lの違いを現物で見比べていただくようにしています。このナインの詳細は当店の「オリジナル資料」に載っています。
-
-
タブリーズ産 “色数が多い・丈夫”
ナイン産とともに日本ではポピュラーな産地。全体的に普通のグレードで比べるとナインより細かい織りでガシッとした、いかにも丈夫そうな感じで一般グレードはナインより高価。
-
デザイン
色数はナインと比べると多色使い。デザインは大きく分けて2種類で一つは「マヒ」または「フィッシュ」デザインと呼ばれている全体的に細かい柄の物ともう一つは一般に「フラワーデザイン」と呼ばれるメダリオンを中心にアラベスク文様のもの。全体に言えるのは原色のようなきつい色は使わず中間色を多用しているので柔らかい雰囲気がある。フラワーデザインの物は派手目の物が多くいわゆる「シノワズリー趣味」的で少し間違うとコーディネート的に「ダサ目」になります。
-
家具との相性
どちらかというと、木質系・柄物ファブリック系などクラシック系がよく合います。「フラワーデザイン」のベージュ系などはモダン系にも使えます。「マヒ」デザインのものはクラシック調で格調高い感じになります。
-
その他
高級グレードには、絹糸を縦糸に使用した細かい織りの物がある。厚みが薄くしなやかな風合い。ただ高価で、派手派手な物が多いので日本人の一般趣味には合いにくい。
この産地は楕円形・円形・廊下敷(長尺)なども各サイズ作られています。
-
-
カシャン産 “実用本位。「定番」デザインの良さ”
長い伝統を持つ名産地で、デザインは頑固に「正統派」デザインを守っている。
欧米でも昔から実用絨毯として広く使われている。-
デザイン
ペルシャの代表的な定番デザインで真ん中にメダリオン、アラベスク文様、大多数はこれで、しかも色も赤系かベージュ系の2種類のみ。実用絨毯なので全体に織りはあまり細かくない。奇をてらったところがないので定番の飽きのこない良さがある。
-
カシャンシルク
従来、ウールオンリーの産地だが、一部絹100%の物が作られている。品質は概ね上級クラスで、特に「ホワイトカシャン」と呼ばれるものはカシャン独特の定番デザインでベージュ系だが上質な格調高い雰囲気で人気が高い。クム産と区別して一般に「カシャシルク」と呼ばれている。最近はベージュ以外にイエロー・ワインレッド・ブルー等の物が制作されている。
-
絨毯のクリーニング・
メンテナンス・コーディネイト
絨毯のクリーニング、補修などのメンテナンスもお引き受けいたします。カーテン、ソファー、家具とのコーディネイトのご提案・ご相談も賜ります。
詳しくはお電話またはお問い合わせフォームにてお問い合わせ下さい。